あひるの仔に天使の羽根を
 
こっちはそう反省しているというのによ、芹霞は思い切り嫌そうな顔をしやがって。


俺とそういうことするのが真っ平御免ですって顔したから。


気が短い俺は、思わずカチンときてしまって。


「じゃあ俺がまた香水女に走ってもいいのかよ!!?」


もう不特定多数を相手に出来ないほど、芹霞以外への性欲は失われてしまったけれど。


芹霞は言葉に詰まっているようだ。


卑怯かな。


芹霞が香水女のことを昔からよく思ってねえこと知っている。


女遊びを辞めさせようと、裏で緋狭姉や玲に相談していたことも知っている。


「どうしてあたし!!?」


芹霞はもう泣きそうだ。



「そんなの俺が聞きてえよ!!!」



ああ、俺が苛めていることになるのか?


そうだ、よな……やっぱ。


「……ぎゅう」


芹霞がぼそっと呟いた。


「ぎゅうだけじゃ駄目?」


何だその上目遣い。



「……駄目?」


なんだそのほんのり紅潮した頬。



「~~ッッッ!!!」



反則だろうがよ!!!



顔から火が吹いた。



鎮めろ。


こんな処で変なことを考えるな。


こいつは――俺に対して警戒心がねえだけだ。



欲望を消せ、消すんだ!!


俺の心は大騒ぎ。



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