あひるの仔に天使の羽根を


「……ちッ!!!」


煌が突如舌打ちしたかと思うと、酷く顔を歪ませて、それを手で握りしめた。


「どうしたの?」


「お前見えるか、この路上に散らばっているもの」


「……? ……お菓子の食べ滓?」


そう言うと、煌は益々不機嫌な顔をした。


「俺は……動物じゃねえっちゅーのッ!!!」


何だか――記憶を刺激するような……?


「行くぞ!!!」


煌はあたしの手を掴んで走り出した。


右に曲がったり、左に曲がったり、真っ直ぐ行ったり……。


「………」


煌は――半分キレかかっている。



そのはずだ。



確かに長い距離を走ったはずなのに、食べ滓ロードの終着は――



「振り出し!!?」


最初の地点だったのだから。



「あいつ――殺してやるッ!!!」


煌が物騒なことを言い出し、偃月刀を顕現させてしまった。


「こ、煌。落ち着こう、ね?」


「赦さねえ!!! 絶対俺のこと馬鹿にしてやがる!!!」


「誰のこと言っているの、落ち着きなさいってば!!!」


「ああ!? あいつだよ、あいつ。胡散臭い――「あの~」


煌の荒げられた声に割って入ってきたのは、少女だった。

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