あひるの仔に天使の羽根を
ボロ布のような服を纏った、痩せ細った少女で。
「何だ、お前!!?」
煌の剣幕に泣き出しそうだ。
あたしは煌の足を踏んづけて、笑顔を作って身を屈め少女の目線に合わせた。
「どうしたの?」
「言われたんです……」
「ん?」
「道の真ん中で怒鳴りまくるオレンジ色と、それをなだめる紫の修道服を着た女の子が居たら声をかけれって……」
あたしは目を細めたけれど、煌は更に地団駄を踏んでいるようだ。
「煩い、静かにして!!!」
怒り込めた目で一瞥すると、煌は大人しくなる。
「誰に?」
「んーと、青い神父様」
"青"。
何か忘れているような?
「その人はもういないんですけれど、"お兄さんからプレゼントがあるから受け取ってね"という伝言と"それ"を預かってます」
そして少女は軽やかに歩き出し、あたし達を手招きをした。
「……煌、どうする?」
「……行くしかねえだろうよッ!!!」
本当に煌は不機嫌だ。