あひるの仔に天使の羽根を

寒い――んだ。


寂しいんだ。


1人は嫌なんだ。



もう温もりがないのなら。


もう愛情がないのなら――



――玲くん……。



そんな時、突然迷宮が薄れてきて。



――聞こえる? 玲くん……。



鏡に映る母親も悲しげに薄れていって。



――あたしはここにいるからね。


突如差し込んできた曙光に。


包まれた僕は思わず呟いた。


温かい…、と。



――安心して戻っておいで?



泣きたくなる程、心が満ちてくる。


僕は1人ではない。


慈愛深い、優しい……柔らかな感触に。



僕はいつまでも包まれていたいと請い願う。


此の世に永遠があるというならば、


永遠にこの光は僕を照らし続けることだろう。


どんな根拠に基づく確信なのか、判らないけれど。



そう思った時、僕は――



嬉しくなった。


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