あひるの仔に天使の羽根を
「ああ始まったのね。
最初の――弔いの鐘が」
弔い?
13回をもって、鐘の音は消える。
静寂に包まれたあたりを遮ったのは、独白のような樒の声。
「あと数日。
儀式と祀りによって私達は永遠に――」
再び樒が老人に口づけた。
「私は諦めないわ、刹那……」
――須臾が寝込んで儀式が出来なくなったら、どう責任とるつもりなの!?
儀式や祭は樒にとってどんな意味を持つというのか。
「どんな手を使っても、私は貴方をとり戻してみせる」
それは確固たる決意のように。
「その為に私は――…なのだから」
瞬間曇った台詞がよく聞こえなかった。
「もう引き返せない!!!」
そして樒は――
泣きながら笑った。