あひるの仔に天使の羽根を
離れないで櫂。
闇と同化しないで。
あの底冷えするように冷たい、冥い闇に逝かないで。
――り。
あたし達は離れない。
――せり。
永遠に離れない。
――せり。
櫂だけは違うでしょう?
――せり。
櫂だけはあたしを置いていかないよね?
――芹霞ちゃああん!!
ねえ、櫂だけは。
――約束だよ、せり。
ああ――
櫂が薄れていく…――。
その後ろに、天使の羽根を持つ悪魔を見た――気がした。