あひるの仔に天使の羽根を
 

正面に大きい画面と、補助的な小さな画面。


背凭れが大きい、黒いロッキングチェアがある。


正面の大きい画面には、入力待ちのように、カーソルがチカチカ点滅し続けている。


まるで2ヶ月前の施設の中に居るようで、


――舌……搦めて?


思い出さなくてもいいことまで思い出したあたしは、あたふたと騒いだ。


煌は不審げな顔をしていたけれど……先に中に入った玲くんは背中を向けていたくせに、突然意味ありげな流し目を寄越してきて。


何だかそれがいやに艶めいていて。


絶対、玲くん判っている。


ああ、顔から火が吹きそうだ。


それを見ていた煌が、不機嫌そうな顔であたしの頬を抓った。


「……すげえ、ムカつく」


「いひゃい」


「…お前、俺の居ない処で何してたんだよ!?」


声を荒げて、思い切り横に引っ張られた。


「なあ……言えよ!!!」


煌の顔が怒ったような表情に変わった時、突如あたしの身体が青光に包まれ、煌が舌打ちをしてあたしから退いた。


「玲、お前卑怯だぞ!!?」


気付けば。


椅子に座った玲くんが、冷たい面持ちで煌を見上げていて。

煌が玲くんを睨み付けていて。




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