あひるの仔に天使の羽根を
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「なあ、煌。お前は"刹那"についてどう思う?」


僕は芹霞の付き添いをイクミに頼み一度機械室の様子を見に行ったけれど、足早に書斎に戻り、ノートパソコンを機械室に持ち込んで操作しながら後方に佇む煌に声をかけた。


「どれの? ここの主? 芹霞の方? 教祖?」


「……教祖?」


僕は目を細めた。


「ああ、そういえばまだ言ってなかったな。俺、芹霞追いかけてきた途中に、チビ陽斗に会ってよ、そこで聞いたんだ」


「待て。チビ陽斗って何だ?」


「ああ、陽斗そっくりのチビだ。半端なく強え。俺が制裁者(アリス)だってことも知ってやがる。

それから緋影をさ、"裏切り者"って言ってたんだ。緋影の…陽斗と同じ顔してよ。今のこの時期に、紫堂が来たのは意味があるって、敵意と嘲りを向けやがった。あの白い神父服着たチビ陽斗は」


「白……」


僕はイクミの言葉を思い出し、煌に告げた。


神父の中で最強は、教祖の代行が出来る白。


白が教祖を知っていても不思議じゃない。


その白は、紫堂に敵意を向け、そして僕達は狙われて。


その少年も、煌の腕を狙い…そして今煌を救ったあの女も。


白は、陽斗と同じ顔をしているなんて。


「偶然、じゃねえだろうがよ」


煌は鋭い目を僕に向けてきた。


「それからさ、チビ陽斗…魔法みたいのが使えてさ」


「…魔法?」


「ああ。空間に赤い魔方陣みたいのを浮かび上がらせて、そこから火の龍が襲い掛かってくるんだ。緋狭姉並だ」


空間に魔方陣。そこから放出される力。


僕には記憶がある。


それは――



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