あひるの仔に天使の羽根を
0と1の世界を想念で作り出す世界は、人間の指の動きの早さに勝る。
それは想念1つで、人工知能さえ生み出せるもので。
実際、そんなメインコンピュータが家に存在する。
月長石への電力補充の為に、無駄な電力放出を抑えたかった僕は、此処では原始的な方法でのプログラム作成をした。
それに対して、時間差でセキュリティ的な防衛プログラムが動いたとしても、そこから僕が想念によるコード変換プログラムに切り換えたのだから、それでも速度が追いつかなかったのは、はっきりいって異常だ。
この機械の創造主であるならば、外部対策の術があるかも知れないけれど、その刹那は不在だ。
刹那が何処からか、僕の動きを監視していたのだろうか?
そう思いながら、ノートパソコンで僕が作り出すプログラムは、起動を始めて。
その瞬間、僕は意識を集中して、電力の系統をこの機械のものと統合させる。
ほんの一瞬。
セキュリティシステムが動くまでの1秒にも満たないその間。
僕が作ったプログラムは適合したデータを盗み取る。
そして――遮断(シャットアウト)。
「中々スリリングな操作だよ」
笑いながら、僕はそのデータをパソコンに展開する。
「何見てるんだ?」
「ゲームの登録者情報」
全てが英字で表示されていて、煌は顰めっ面をして唸っていたけれど。
「今、登録者は100人は超えている。
だけどね、見ている間にもその登録者の減り続け、同時に登録者の名前が増え続けている」