あひるの仔に天使の羽根を
・対峙 桜Side
桜Side
****************
早く。
一刻も早く。
芹霞さんを櫂様に遭わせねば。
――須臾、好きだ……。
あれは櫂様じゃない。
櫂様じゃないんだ!!!
何故こんなに哀しい気持ちになるのか判らない。
どうして私がこんなに切ない心になるのか判らない。
私は、櫂様が芹霞さんを愛する様子を間近で見てきた。
時に苦しそうで。
時に嬉しそうで。
『気高き獅子』と呼ばれ、冷徹なまでに紫堂を拡大している櫂様の、唯一の人間らしさを垣間見せるのは芹霞さんの隣だけで。
芹霞さんをもって櫂様は完璧になられるのだ。
須臾じゃない。
あんな、芹霞さんに悪意を見せる女ではない。
あんな女に惑わされるのは、櫂様ではない!!!
櫂様に、真実の"永遠"を。
偽りの愛なんて、かき消してしまえ!!!
私は、正門を抜けてひたすら走る。
もう景色なんてよく判らない。
身体の不調なんて感じられない。
ただひたすら。
私は芹霞さんに会いたかった。
芹霞さんなら、どうにか出来ると信じていた。
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早く。
一刻も早く。
芹霞さんを櫂様に遭わせねば。
――須臾、好きだ……。
あれは櫂様じゃない。
櫂様じゃないんだ!!!
何故こんなに哀しい気持ちになるのか判らない。
どうして私がこんなに切ない心になるのか判らない。
私は、櫂様が芹霞さんを愛する様子を間近で見てきた。
時に苦しそうで。
時に嬉しそうで。
『気高き獅子』と呼ばれ、冷徹なまでに紫堂を拡大している櫂様の、唯一の人間らしさを垣間見せるのは芹霞さんの隣だけで。
芹霞さんをもって櫂様は完璧になられるのだ。
須臾じゃない。
あんな、芹霞さんに悪意を見せる女ではない。
あんな女に惑わされるのは、櫂様ではない!!!
櫂様に、真実の"永遠"を。
偽りの愛なんて、かき消してしまえ!!!
私は、正門を抜けてひたすら走る。
もう景色なんてよく判らない。
身体の不調なんて感じられない。
ただひたすら。
私は芹霞さんに会いたかった。
芹霞さんなら、どうにか出来ると信じていた。