あひるの仔に天使の羽根を
そんな時だ。
彼らの周辺に動く、複数の気配。
玲様と煌、そして久遠も同時に気配に気づいたようだ。
彼らが動き出すよりも早く私は飛び出して、両手を交差させて裂岩糸を手繰り、刺客を纏めて糸に捕える。
「桜!!?」
煌の驚いた声が響く。
暗紫色の神父が4人。
一体、何種類の色の神父を見ただろう、そう思いながら手を上に上げて、神父達の身体を糸できつく締め上げ、そして私は手を振り下ろした。
激しい震動と重音。
呼吸を奪われた男達は地面に叩き付けられ、動かない。
「桜!!! お前大丈夫なのかよ!!?」
私にまず駆け寄ってきたのは馬鹿蜜柑で。
「桜、何で寝ていない!!?」
私はまた玲様に叱られて。
私は玲様の前に赴き、神妙に頭を垂れた。
「玲様。早くお戻り下さい」
「……櫂に何かあったの?」
流石は玲様だ。
私は芹霞さんを横目に見ながら、返答に窮した。
「芹霞さんが必要なんです……」
そう言うのが精一杯で。