あひるの仔に天使の羽根を
そして――
「後悔するなよ、"櫂"」
玲の言葉は、俺の心に…ずんとした何かを投げかけた。
「"お前"がどんなに喚いても、
僕は芹霞を離さないぞ?」
心にあるのは鉛のような重苦しさ。
「何があっても渡さないぞ?」
挑発的に光る、鋭い鳶色の瞳。
「それでもいいんだな!!?」
何故か、言葉が出ない俺に――
「ええ……どうぞ?」
代って須臾がにっこりと微笑んだ。
須臾が笑うから。
だから俺は――
その心の異変を見て見ぬふりをした。
それが――
崩壊への序章だとは気づかずに。