あひるの仔に天使の羽根を
・亀裂 桜Side
桜Side
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端麗な顔は非常に険阻な色で覆われたまま、いつもには考えられないくらいの荒々しい態度で、玲様は部屋から出て行った。
「師匠~!!」
そんな玲様を見兼ねて、今まで傍観者に徹していた遠坂由香が追って出て行く。
本当は私もそうしたかったのだけれど。
だけど。
私が仕えるのは櫂様で。
どんな櫂様でも私の主である限り、私は動けない。
私は、きっと櫂様の狂信者なんだろう。
櫂様という、絶対的存在を裏切ることは出来ない。
だけど心は――
煌や玲様と同じ。
それを表に出さないことが、どうしてこんなに辛く思うのか。
いっそ二人のように爆ぜてしまえれば楽になったかも知れないのに。
どうして――
こんなことになってしまったのだろうか。
ここまで苦しい思いをして櫂様に仕えた記憶はなく。
ここまで不安定な未来を危惧したこともなく。
玲様は。
耐え続けてきた。
櫂様の心を間近で見てきた故に。
櫂様を大切に思うが故に。
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端麗な顔は非常に険阻な色で覆われたまま、いつもには考えられないくらいの荒々しい態度で、玲様は部屋から出て行った。
「師匠~!!」
そんな玲様を見兼ねて、今まで傍観者に徹していた遠坂由香が追って出て行く。
本当は私もそうしたかったのだけれど。
だけど。
私が仕えるのは櫂様で。
どんな櫂様でも私の主である限り、私は動けない。
私は、きっと櫂様の狂信者なんだろう。
櫂様という、絶対的存在を裏切ることは出来ない。
だけど心は――
煌や玲様と同じ。
それを表に出さないことが、どうしてこんなに辛く思うのか。
いっそ二人のように爆ぜてしまえれば楽になったかも知れないのに。
どうして――
こんなことになってしまったのだろうか。
ここまで苦しい思いをして櫂様に仕えた記憶はなく。
ここまで不安定な未来を危惧したこともなく。
玲様は。
耐え続けてきた。
櫂様の心を間近で見てきた故に。
櫂様を大切に思うが故に。