あひるの仔に天使の羽根を


芹霞さんが居て。


芹霞さんから目をそらさずに。



他の女に愛と、永遠を告げた櫂様は。



芹霞さんとの間にも決定的な亀裂を生じさせた。


よりによって。



相手に選んだというのが、こんな蛇みたいにいやらしくほくそ笑む女なんて。


こんな女が芹霞さんに勝るなんて、そんなこと絶対ありえない。



「ねえ、櫂。儀式は…明日。それさえ終わってしまえば、もう誰が何を言っても私達はずっと永遠に一緒よ?」


芹霞さんは。



「たかが従者の立場で、私を邪険に扱うなんて許せないわ」



私達を櫂様のただの"従者"だと、捨て駒だと、そう扱った事はなかった。


櫂様を大事にするのと同時に、私達も大切にしてくれた。


私達の幸せをも考えてくれたから。



「もう、邪魔させないわ」


"邪魔"


そう口にしたことは一度もない。



――大好きだよ?


泣きたくなるくらい――


私自身よりも、"私"を愛してくれたから。



どんなに血に塗れようが、"私"を絶対見放さないからこそ。



だからこそ、皆芹霞さんを愛したんだ。




そう――


私だって。






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