あひるの仔に天使の羽根を
認めたくなかった感情に――
突き上げる衝動に――
私は唇を噛んで目を閉じた。
どうして今――
――ショックだったんじゃないかなってさ、紫堂が……神崎に告ったのがさ。
遠坂由香の声がこんなに思い出されるのか。
ああ――
認めざるを得ないじゃないか。
私もまた――
芹霞さんに心惹かれていたのだと。
だから――
秘めねばならない。
これは……抱いてはいけない、何が何でも殺すべき感情。
こんなタイミングで、気づいてしまうなんて。
なんて――
愚かしい私。
ああ、共鳴でもしていたのか。
だから――
無性に馬鹿蜜柑に苛立ったのか。
――判っているさ、俺は身分不相応なくらいは。
立場も蟠(わだかま)りも全て捨てて、
己の感情のままに走れる煌が、
私は妬ましかったのか。