あひるの仔に天使の羽根を
「何度も言うけどさ、俺はお前が好きなんだ。
好きだから離したくねえのに、離れないようこうして必死でお前の傍に居るのに、それを全然理解されずに挙げ句笑われたんじゃ、俺…辛くて仕方がねえよ」
「煌……」
「考えたくはねえけどよ、お前がもし俺以外の男の元に行っちまっても、俺はお前を想い続ける。俺は幼馴染という立場を利用してでも、意地でもお前の傍に居続けてやる。嫌だってお前に拒まれても、殴られても、大喧嘩しても。絶対離してやんねえ。
それくらいの覚悟なくて、お前に告るわけねーだろうが」
ぶすっと言い捨てた煌は、あたしから顔を背けた。
なんだかその顔が、可愛くて。
本当に愛しくなってしまって。
――芹霞ちゃあああん。
煌の姿が、8年前の櫂の姿と重なる。
櫂ではないのに。
櫂は居なくなったのに。
煌が居てくれて幸せだと思った。
切なくなるほど、煌が愛しい。
胸がきゅうきゅう音をたててる。
それが友情なのか、恋愛なのか判らないけれど。
煌まで失ったら、あたしは生きていけないと思った。
それくらい、あたしは煌が好きだと再確認する。
その思慕の念を何か形で示したくて。
言葉ではなく、もっと判り易く――。
だから。
あたしは煌の首に手を絡ませ――
煌の唇に、あたしの唇を押し付けた。