あひるの仔に天使の羽根を
 

笑え。


笑え。


「それを証明出来ますか?」


須臾の冷たい声に。


あたしは玲くんを見た。


その手は、力を込められてふるふる震えている。


それは今にも、櫂か須臾かに向けられそうな勢いで。


だから――


「あたしは玲くんが好きなの。

だから――安心して?」


玲くん以上に震える手で、玲くんの拳を包んだ。


その拳を誰にも向けないよう、制する意味を込めて。


そうするしか出来なくて。


きっと玲くんなら判ってくれる。


早くこの場から居なくなりたいあたしの心境を。


後でひたすら謝ろう。



「でも、先刻は煌さんと……。あっちもこっちも…随分と男遊びが激しい人ね」



やっぱり説得力ないか。


どうしよう。


そう思っていた時、玲くんが動くのが判った。


「嬉しいよ、芹霞。

ありがとう、僕を選んでくれて。

今度は余所見させないからね?」


そう、ふわりと笑った。


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