あひるの仔に天使の羽根を
芹霞を著しく傷つけたんだ。
あんなに無理して笑わせて。
芹霞から、あんな残酷な言葉を言わせて。
それで自分だけ幸せになろうとするのが、僕には許せなかった。
僕なら泣かせない。
僕なら何があっても、芹霞への愛を貫く。
何のために、僕は今まで耐えてきた?
櫂だからと諦めようとした、苦しい過去がただの後悔にだけになって。
もう、僕には止められなくなって。
僕は、芹霞を手に入れる覚悟を決めた。
判っている。
こんな状況で僕が動いたって、芹霞の心は遠いことは。
だけど、動かずにいられなかったんだ。
黙って見てられなかったんだ。
限界――だったんだ。
それを、演技故だと言うの?
こんなに切羽詰まった僕の心は、何も伝わらなかったの?
だから僕は切なくなって。
「僕じゃ……役不足?」
思わず、無気力じみた言葉が漏れた。
「そんなそんな滅相もない!!! だけどそういうことは、玲くんが本当に好きな子に言ってあげて?」
そう笑い続けるから、僕は思わず唇を噛んだ。
"本当に好きな子"
芹霞にとって、僕は対象外?
もう――
狂い出しそうだ。