あひるの仔に天使の羽根を
僕はそんなことはまるで考えていなくて。
櫂と芹霞が断絶したからって、どうして僕が引き摺られる?
「櫂は櫂、僕は僕。
接点が無くなれば作ればいい。
どうして作ろうとしない!?」
芹霞は驚いたような顔で僕を見ていて。
「君は、僕との関係を終わらせても平気なの!?」
芹霞はぶんぶんと慌てて首を横に振った。
「確かに僕は櫂の影に生きようとしているけれど、君の中の存在まで影で終わらすつもりはない。
そんなこと言うなよ!!?」
そう僕は芹霞を抱きしめた。
心が荒れ狂っている。
芹霞は僕と別離を考えていたなんて。
それを受け入れようとしていたなんて。
僕はそんな程度の男なんだろうか。
櫂を媒介にしただけの、そんな儚い関係だったんだろうか。
僕の想いは…ここまで報われていないのか。
「玲くん……ごめん。本当にごめん。玲くんは櫂と関係ないよね、玲くんは玲くんだものね」
そう芹霞が、僕の背中に回した手に力を込めた。
「玲くん……あたしと付き合ってくれますか?」
そう、芹霞が身体を離して僕を見た。