あひるの仔に天使の羽根を
 
「……あたしの為に、櫂の為にどうもありがとう」


そう芹霞は頭を下げた。


僕は自己嫌悪に苛まれ、心がずきずきと痛んだ。


芹霞にとって、僕と付き合うということは、


僕の優しさだと思っているに違いない。


だからあんなに拒んでいたのかも知れない。


だけど。


「3日後には、違う台詞を待っているからね?」


僕が撒いた種は、僕が刈り取らないといけない。


櫂が元に戻ろうが戻るまいが、

僕が芹霞を確実に手に入れられる時間は3日。


それ以上を望む僕は、

本腰入れていかないといけない。


「芹霞……好きだよ?」


僕は微笑みながら、芹霞の手を握る。


「ふふふ、何かくすぐったいね」


芹霞は無邪気に笑う。


心が――痛いよ。


ねえ、芹霞。


本当の君の心は、誰に向いているの?


僕は――


僕以外は認めないから。


どんなことがあっても、


僕は君を手放さないから。


僕は君を手に入れたのだから。

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