あひるの仔に天使の羽根を
・現実 櫂Side
櫂Side
**************
心が満たされない。
須臾と想いが通じた時は、あんなにも幸せで満ち足りていたというのに、それを皆に宣言した途端、どうだ?
場の空気は不穏で。
煌は戻ってこない。
玲は俺に敵意を向け。
桜までもが俺を"偽り"だと、事実上、俺を詰った。
確かに俺は紫堂の次期当主で、それを捨ててまで須臾と添い遂げようと覚悟していることに、紫堂に染まった皆が快く思わないのは判る。
だけど。
だけど。
なんだろう、この心の空虚感。
須臾が居るのに。
須臾が手に入ったというのに。
この孤独感。
違うんだ。
皆の目は、紫堂を捨てることに対しての敵意ではない。
芹霞。
幼馴染の芹霞を切り捨てたことに対しての敵意だ。
どうして?
芹霞を好きなくせに、どうして俺が芹霞を突っぱねるとそこまで俺を責める?
どうして須臾をそこまで嫌う?
どうして芹霞ばかりを持て囃す?
おまけに須臾も皆を嫌ってしまい、クビにしろと煩い。
宥(なだ)めれば、どうせ俺は此処で暮らすのだから、早く玲に次期当主の権を渡して、煌と桜を引き取って貰えと言い出す。
俺としては、此処でも皆と暮らしていけたらと思っているのに、上手くいかない現実。
板挟みになって正直しんどい。
**************
心が満たされない。
須臾と想いが通じた時は、あんなにも幸せで満ち足りていたというのに、それを皆に宣言した途端、どうだ?
場の空気は不穏で。
煌は戻ってこない。
玲は俺に敵意を向け。
桜までもが俺を"偽り"だと、事実上、俺を詰った。
確かに俺は紫堂の次期当主で、それを捨ててまで須臾と添い遂げようと覚悟していることに、紫堂に染まった皆が快く思わないのは判る。
だけど。
だけど。
なんだろう、この心の空虚感。
須臾が居るのに。
須臾が手に入ったというのに。
この孤独感。
違うんだ。
皆の目は、紫堂を捨てることに対しての敵意ではない。
芹霞。
幼馴染の芹霞を切り捨てたことに対しての敵意だ。
どうして?
芹霞を好きなくせに、どうして俺が芹霞を突っぱねるとそこまで俺を責める?
どうして須臾をそこまで嫌う?
どうして芹霞ばかりを持て囃す?
おまけに須臾も皆を嫌ってしまい、クビにしろと煩い。
宥(なだ)めれば、どうせ俺は此処で暮らすのだから、早く玲に次期当主の権を渡して、煌と桜を引き取って貰えと言い出す。
俺としては、此処でも皆と暮らしていけたらと思っているのに、上手くいかない現実。
板挟みになって正直しんどい。