あひるの仔に天使の羽根を
――変わらない"真実"を見せて下さい。
無感情で非情と謳われる桜が、俺に見せた涙。
――私達を納得させて下さい、櫂様。
俺は昔から訴えている。
須臾こそが唯一無二の女だと。
――私達は、その女(ひと)を櫂様の相手に相応しいとは思いません。
いつでも俺に従順な桜が、初めて俺に相対した。
俺に従うと言いながら、その目は俺に敵対する…玲や煌のような"男"の目で。
現状が、切迫していることを思い知らされる。
俺から仲間が…友が離れていく。
千歳が来て、桜も去り、須臾も出て行った。
今は俺1人。
何が悪い?
どうしてこうなった?
もし…俺が須臾を諦めたら、皆は戻ってきてくれるだろうか。
昔みたいに笑い合えるんだろうか。
煌も玲も桜も。
ああ、芹霞はどうだ?
あいつは戻ってくるか?
そして俺は苦笑する。
ただの腐れ縁の女が戻ってきたからどうだっていうんだ。
だけど。
芹霞の存在が重要だ。
芹霞が居れば、きっと皆の心が安定する。
そうすれば、俺達の仲も元に戻るかも知れない。