あひるの仔に天使の羽根を


確かに、突き放したのは俺なのに。


なぜ俺はこんなに――


「ああ、安心して。嫌味じゃない。

あたしは櫂に恋愛感情持っていないし。

別に付きまとって邪魔とかしないし」



こんなに――



「あたしは玲くんが好きなの。

だから――安心して?」


芹霞を手放したくないと思ってしまうんだ?



――お前の愛している女は誰だ?



俺は須臾が好きで好きで好きで、


「嬉しいよ、芹霞。

ありがとう、僕を選んでくれて。

今度は余所見させないからね?」


好きで好きで好きで好きで、


「櫂のおかげで、僕達は付き合えるよ。

ありがとう、後押ししてくれて。

前にも言ったけれど、僕は芹霞を離さないから」


好きで好きで好きで好きで……。



玲の唇が芹霞の唇と重なった。



「!!!」



――お前の愛している女は誰だ?



それが俺には衝撃的で。


2人の行為を力づくでも止めたい俺が居るのが判る。


俺は須臾が好きなのに。




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