あひるの仔に天使の羽根を
 

「れ、……んっ…い…」



玲の本気が痛い程判った。


俺など脇目もふらず、ただ一心不乱に芹霞を求めていて。


どこまでも艶めいた"男"の顔で。


ただの濡れ場というには、強烈過ぎた。


こんな貪欲な情を露にした玲を俺は見たことがない。


これ程までの切実な想いをぶつけて、

この上ない欲と色気を纏って、

玲は本気で芹霞を手に入れようとしている。


いや、もう手に入れているのか。


ここまで大きな想い抱えながら…玲が今まで堪えていた事実と、それを芹霞に向けることに躊躇いを無くしたということが、そして何より芹霞がそれを受け入れようとしているという現実が、俺にはどうしても辛くて辛くて辛くて――…。



胸が裂かれそうだ。



――お前の愛している女は誰だ?



俺だって見せつけた。


幼馴染なんて必要ないと、切り捨てたのは俺。



その俺が芹霞と玲の愛を成就させた。



それなのに――


それなのに!!!


――何があっても渡さないぞ?

どうして俺がこんな後悔するような気分になるんだよ!!!


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