あひるの仔に天使の羽根を
「……解ける前に、上書きかよ」
何故か心揺るがすその声の主は、久遠からだ。
気づいたら俺の前に居て。
その美貌に、俺は完全に翳る。
「ここまで貪欲で、愚かな子供(ガキ)だったとはな」
嘲るような口調。
「だから愛想付かされるんだよ、せりに」
どこまでも侮蔑の光を宿す瑠璃色の瞳。
"せり"
何故か烈しい敵意が芽生えてくる。
俺はこいつが嫌いだ。
だけど――何で嫌いなんだ?
須臾の兄で、義兄になる男なのに。
「お前なんか、"永遠"を語る価値なんてないんだよ」
突き刺すような冷たい瑠璃色の瞳が、俺を絡め取る。