あひるの仔に天使の羽根を
玲は、絶対芹霞を離さねえだろう。
あそこまで身体全体で芹霞への愛を訴え、
俺に謝罪していた玲は――
あくまで本気だ。
本気な玲に、そんなあいつを選んだ芹霞をどうして俺が勝ち取れるよ?
大体。
相手が誰であろうと、すぐ芹霞が手に入ると思ってたら、こんなにとろとろしてねえ。
芹霞の気持ちも置かれている状況なんて完全無視して、俺は力ずくで芹霞を組み敷いてでも、監禁してでも、強引に俺の女にするよ。
だけどよ、俺の欲しいのは芹霞から返る心なんだ。
時間がかかっても……
本当に俺だけを好きになって貰いてえんだ。
だから……待とうと思ったんだ。
"男"として意識して貰いたかったんだよ。
櫂や玲相手にするような反応を――
櫂に対しては惑い、
玲に対しては気絶をするように……
赤い顔をして戸惑わせて、俺の"男"に溺れさせて、
完全な状態で手に入れたかったんだ。
そこまでしねえと、芹霞は他の男に奪われる。
だけど徒労だった。
そこまでしなくても奪われた。
――あたし…玲と付き合うことにした。
俺は許容出来るのか?
祝福出来るのか?
無理、だ。
告って腹括ってから、余計想いが倍増してんだ。
俺の欲が抑えきれねえんだよ。
苦しくて苦しくて苦しくて。
胸の中の膨れあがる想いが、ばーんと破裂して、いっそ俺を壊してくれたら…修復不可能なくらいに木っ端微塵に打ち砕いてくれたら、楽になれるのに。
壊れてしまいたい。
もう、何も考えられなくなるくらいに。
好きなんだ、芹霞。
好きなんだよ、本当に。