あひるの仔に天使の羽根を
ああ、くそっ。
芹霞が玲と部屋を共にする。
それだけでこんなに苦しくて。
ずきん。
俺は玲がどれ程芹霞を愛していたかを知っている。
芹霞がどれ程玲を慕っていたかを知っている。
今までだってあいつらは仲良く一緒に居た。
だけど意味が違うんだ。
愛し合う男女が一夜を共にするなんて、指し示す処は1つだ。
そして俺があいつらの前から消えた後も、2人はずっと一緒に居るのだと思うと、それがどうしても許せないような心地になる。
俺さえ居れば――
そう思ってから息を呑む。
俺が居たからって、何が変わるんだ?
大体、芹霞は玲の女で…。
俺の女じゃないのに。
瞬間、全身の血が逆流しそうな激痛に襲われる。
駄目だ、駄目だ。
俺には須臾が居るのに、こんな感情は持つな。
こんな――
芹霞が好きみたいな執着。
こんな――
玲を疎ましく思う嫉妬。