あひるの仔に天使の羽根を
「好きだよ……?」
睦み言のような甘く響く玲の声。
ずきん。
「ンや……!!!」
玲に反応する芹霞の喘ぎ声。
俺は――
目を逸らさず、2人を見ていた。
目を離すことが出来なかった。
玲は――
芹霞の首筋に顔を埋めながら、その目を俺に合わせた。
それは凛とした"男"の眼差し。
俺の心の動きを、見透かしているような鳶色の瞳。
――何があっても渡さないぞ?
目を逸らしたくは無かった。
逸らしたら――
負けのような気がして。
ずきん。
「続きは、部屋でね……?」
玲は倒れ込んだ芹霞を腕に抱き、再び俺に目を合わせる。
「――…櫂。
紫堂のことは気にするな。
僕が――継ぐ」
がつん、と思い切り頭を殴られた衝撃。
鳶色の瞳は揺るがない。
挑発的に玲は言った。
「もうお前には、紫堂に拘る意味はないんだろうからね。
せいぜい須臾と、永遠を語っていれば?」