あひるの仔に天使の羽根を
「うわあ~、いいねッ!! ナイスだねッッ!!!」
いち早く順応したのが遠坂で。
コスプレ女は、非日常世界は即受容出来るらしい。
桜など、本当に胡散臭さげな眼差しで見つめているのに。
俺としちゃ、どちらでもいい。
天使でも悪魔でもいいけどよ、芹霞と櫂を手当出来る場所確保しねえと。
櫂の服が血に染まってるじゃねえか。
玲の結界はやはり張れないらしく、玲が得意の微笑みで2人に嘆願した。
ここからすぐに見える、木造の荒(あば)ら屋が住処らしい。
だけど拒否したのは"悪魔"の月(ユエ)で。
「お姉ちゃん以外は気持ち悪いから嫌~ッ!!!」
やはり玲は子供に好かれる性質だよな。
というより、気持ち悪いって何だよ、おいッ!!!
俺はキレて、月の襟首掴んだ。
月の羽根がふさふさと俺の手首を擽(くすぐ)る。
月の両足は地面から離れ、まるで宙を飛んでいるみたいな格好だ。
「面貸せや」
俺はそのまま、憎たらしい子供をその家の前まで連れていった。
俺は子供の扱い方など知らねえ。
ましてや、相手の顔色窺う駆け引きなど出来やしねえ。
進むか退くか。
俺には迂回ができねえから。