あひるの仔に天使の羽根を
 



「………ッ!!!


お前、やっぱ抜け駆けしてんじゃねーかよ!!?


芹霞のナマ乳を見たのか、お前!!!?」


半分悲鳴がかった俺の頬に張り手を食らわせたのは、


「信じられない、この変態ッ!!!」


涙目の芹霞で。


「おま……それはないんじゃね?」


「最ッ低~ッッ!!!」


悪いのは、俺なのか?


「もう口きかないッ!!!」


「せ、芹霞?」


つんと横を向いてしまう芹霞は、それ以降俺を見向きもしなくなってしまった。



「スッケスケ~♪


スッケスケ~♪」



月と遠坂が、赤いスケスケを振り回しながら妙な節をつけて歌い出した。



「芹霞、俺が悪かった。この通りだから」


頭を下げた俺に、慈悲の言葉は向けられることなく。



「スッケスケ~♪


スッケスケ~♪」


下手くそな歌だけが無情に響き渡った。
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