あひるの仔に天使の羽根を
・欠片 煌Side
煌Side
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桜を芹霞の元に行かせるのは、正直迷いがあった。
俺が行きたい。
俺が守りたい。
芹霞の顔が見たい。
芹霞を抱き締めたい。
――ごめん、煌……。
今も尚切ねえくらい想いは膨らむけれど、あの時の多大なる大打撃を怖れるあまり、こんなにも芹霞に会いたい半面、芹霞に会うのが無性に怖かった。
しかもあんな醜態晒して、今更どんな面して会ったらいいよ?
情けねえ。
やっぱ俺はヘタレすぎる。
募る恋情に、手も足も出なくなっちまうなんて。
そう思うけれども。
それでも会いたい、抱き締めたい。
他の男に指1本芹霞を触らせたくない。
俺だけが迎えに行きたい。
矛盾しても募る心が――
桜の姿とだぶってしまった。
理性を超えた、"男"の本能。
こだわりを捨てた、剥き出しの情。
桜の真情を知った時。
「おいおい、何でこいつまで参戦すんだよ」とか気が重くなったけれど、不思議とそんなに驚いたわけではなかった。
それ処か、こいつも人間だったんだなって妙に感心しちまう程で。
だけど。
桜がそれに触れて欲しくなさそうだったから、それについての言及はやめた。
したところで何が変わるわけでもねえし、癇癪持ちの桜の思えば、そこに俺が踏み込むことは耐えがたき屈辱だろうから。
俺に知られただけで、ここまで暴れるもんな。
ずっとずっと傍観者でいた桜は、どんな思いであの時……玲と芹霞、そして俺を見ていたんだろう。
櫂に対して何を思ったのだろう。
――皆辛いんだ…。
お前も辛いんだな、桜。
無感情で非情で生きたお前が、血相変えて芹霞に元に走るくらいだものな。
なら、此の場はお前に託す。
本当は本当は。
俺が行きたかったけれど。
行きたくて行きたくて仕方が無いけれど。
今のお前なら、絶対芹霞を救えると思うから。
同じ愛を抱える故に、俺は自信持って断言できるから。
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桜を芹霞の元に行かせるのは、正直迷いがあった。
俺が行きたい。
俺が守りたい。
芹霞の顔が見たい。
芹霞を抱き締めたい。
――ごめん、煌……。
今も尚切ねえくらい想いは膨らむけれど、あの時の多大なる大打撃を怖れるあまり、こんなにも芹霞に会いたい半面、芹霞に会うのが無性に怖かった。
しかもあんな醜態晒して、今更どんな面して会ったらいいよ?
情けねえ。
やっぱ俺はヘタレすぎる。
募る恋情に、手も足も出なくなっちまうなんて。
そう思うけれども。
それでも会いたい、抱き締めたい。
他の男に指1本芹霞を触らせたくない。
俺だけが迎えに行きたい。
矛盾しても募る心が――
桜の姿とだぶってしまった。
理性を超えた、"男"の本能。
こだわりを捨てた、剥き出しの情。
桜の真情を知った時。
「おいおい、何でこいつまで参戦すんだよ」とか気が重くなったけれど、不思議とそんなに驚いたわけではなかった。
それ処か、こいつも人間だったんだなって妙に感心しちまう程で。
だけど。
桜がそれに触れて欲しくなさそうだったから、それについての言及はやめた。
したところで何が変わるわけでもねえし、癇癪持ちの桜の思えば、そこに俺が踏み込むことは耐えがたき屈辱だろうから。
俺に知られただけで、ここまで暴れるもんな。
ずっとずっと傍観者でいた桜は、どんな思いであの時……玲と芹霞、そして俺を見ていたんだろう。
櫂に対して何を思ったのだろう。
――皆辛いんだ…。
お前も辛いんだな、桜。
無感情で非情で生きたお前が、血相変えて芹霞に元に走るくらいだものな。
なら、此の場はお前に託す。
本当は本当は。
俺が行きたかったけれど。
行きたくて行きたくて仕方が無いけれど。
今のお前なら、絶対芹霞を救えると思うから。
同じ愛を抱える故に、俺は自信持って断言できるから。