あひるの仔に天使の羽根を
: 或る心象風景 5
永遠の愛に溢れたこの楽園を
理想郷(ユートピア)と呼ぶのなら
禁忌の実を齧り、愛に穢れた私は
追放されるべき存在なのだろう。
邪なる愛の枷に囚われて
永遠という名の刹那に縛られて
醜い現実から顔を背けた。
1つの狂気の拡がる様を
私は見てみぬふりをした。
禁忌の先に見えるのは
久遠か、刹那か。
もし――
まだ赦されるのであれば
私は最期に貴方の名を呼びたい。
伝えたいのだ。
永遠に、愛していると。
たとえ貴方が――
手の届かぬ人になろうとも。