あひるの仔に天使の羽根を
§第5日目
・残像
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水の中に群れていた、得体の知れぬ化け物に噛み付かれた四肢が痛くて痛くて。
声を上げて目を開ければ、真上から覗き込んでいたのは少年。
歳は、10代後半くらいか。
金髪に金の瞳。
外国人?
太陽を背にきらきらと輝いていて、
水で濡れた髪から、雫がぽたぽたと滴っている。
男?
女?
こんなに綺麗な顔をした人を見たことが無くて。
――ホントウニ?
何よりその瞳の色。
金色の奥底には、湖の色よりも深くて澄んだ……瑠璃色の静寂が拡がって漂っている。
それはまるで何かの宝石のように、ただきらきらと輝いて、魅せつけた。
――ナンノホウセキ?
「綺麗な瞳……」
痛みを忘れて思わずそう呟くと、その人は、苦々しげな色を顔に浮かべた。
「忌まわしいだけだよ。髪は染められるけれど、瞳は誤魔化し切れない。君のような…いや君よりももっともっと闇色の、漆黒の色合いだったらよかったのに」
――ドコカデミタ、ダレカノヒトミ。
「どうして?」
手を伸ばして、指の腹でその目の縁を触れて訊けば、
「何色にも染まらない、永遠の色だから」
――エイエンノ…ヤミノイロ。
その人は、儚げに笑った。
「でもあたしは好き。ずっとずっと見ていたくなる」
その瞳を真っ直ぐに見つめてそういえば、
「……ありがとう」
その人の瞳が、少しだけ赤くなった気がした。
――ソレハナゼ?
水の中に群れていた、得体の知れぬ化け物に噛み付かれた四肢が痛くて痛くて。
声を上げて目を開ければ、真上から覗き込んでいたのは少年。
歳は、10代後半くらいか。
金髪に金の瞳。
外国人?
太陽を背にきらきらと輝いていて、
水で濡れた髪から、雫がぽたぽたと滴っている。
男?
女?
こんなに綺麗な顔をした人を見たことが無くて。
――ホントウニ?
何よりその瞳の色。
金色の奥底には、湖の色よりも深くて澄んだ……瑠璃色の静寂が拡がって漂っている。
それはまるで何かの宝石のように、ただきらきらと輝いて、魅せつけた。
――ナンノホウセキ?
「綺麗な瞳……」
痛みを忘れて思わずそう呟くと、その人は、苦々しげな色を顔に浮かべた。
「忌まわしいだけだよ。髪は染められるけれど、瞳は誤魔化し切れない。君のような…いや君よりももっともっと闇色の、漆黒の色合いだったらよかったのに」
――ドコカデミタ、ダレカノヒトミ。
「どうして?」
手を伸ばして、指の腹でその目の縁を触れて訊けば、
「何色にも染まらない、永遠の色だから」
――エイエンノ…ヤミノイロ。
その人は、儚げに笑った。
「でもあたしは好き。ずっとずっと見ていたくなる」
その瞳を真っ直ぐに見つめてそういえば、
「……ありがとう」
その人の瞳が、少しだけ赤くなった気がした。
――ソレハナゼ?