あひるの仔に天使の羽根を
「アレはまだ実験段階とはいえ、この湖に飛び込むなんて無謀だね。傷はオレの術で治癒しているから、もう暫くすれば完全元通りになるだろう」
――アレ? チユ?
気づけば、傍では天使が泣きじゃくり。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
そう泣いて、すがり付いて謝るから。
伸ばした手で背中を摩れば、何か違和感。
「え……羽根?」
それは純白の両翼。
「天使!?」
――セナカノフタツノハネ。
ふわふわとした感触。
感動に言葉を詰まらせれば、
天使は深く傷ついた顔をして。
「違う、そうじゃなく…何というか…可愛いくて。もっと触っていい?」
「ははは。良かったね、アサヒ。彼女は友達になれそうだよ。初めて出来た、普通の…同じ女の子だね?」
――アサヒ? フツウノオナジオンナノコ?
「アサヒを赦してくれるの? 友達になってくれるの?」
「うん、喜んで!!」
そしてまた泣いてしまうから。
私は両頬を横にびろーんと伸ばして見せたら、天使はきゃっきゃと笑い転げた。