あひるの仔に天使の羽根を
・邪痕 櫂Side
櫂Side
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緋狭さんの出現は必然。
必ず迷走する俺達を導く為にその姿を現す。
遠坂が空けた席にどかりと座り、一升瓶を口にして豪快に息を吐いた。
「何だ、欲しいのか? ほら……」
一升瓶を俺達に向けて傾けた緋狭さんに、反論したのは芹霞で。
「未成年に駄目!!!」
「何を今更。では玲、飲むか?」
「玲くん、もうかなり飲んでるし、これ以上の酔っ払いにしちゃ駄目!!!」
「ほう? どれ程飲んだ?」
「ビール缶5、6本…」
玲は気まずそうに、頭をぽりぽりと掻いて答えれば、煌が大爆笑をした。
「それぐらいで玲は酔わねえよ」
「へ?」
「玲は俺より俄然強いし。緋狭姉程ではないにしても、俺は玲の潰れた姿を見たことがねえ」
すると芹霞がじっと玲を見て。
「玲くんもウワバミファミリーの一員だったのか。あのとろんとした目で拗ねる玲くんも、禁断の…過去の恋愛話まで色々お話してくれた玲くんも、あの可愛さはほろ酔いで甘えッ子モードになったせいだと思ってたけど…そうかあれ、素だったんだね」
お宝発見のように目をきらきらさせて喜ぶ芹霞とは対照的に、
「い、いや…あのね…?」
玲は珍しくうろたえて。
……俺達の、凍えた空気を感じ取って。
「ふうん、師匠って甘えッ子モードになるんだ」
「あ、あのね……僕はただ…」
玲の白い肌が、羞恥に赤く染まっている。
「皆は知らないでしょう!! 玲くんってよしよししたくなる程可愛いんだよ? いいでしょ、あたしだけが知ってるんだから!!!」
得意げに胸をそらし、にっこり無邪気に微笑む芹霞に……玲との間に生まれている"何か"を感じ取って俺の胸は苦しくなった。
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緋狭さんの出現は必然。
必ず迷走する俺達を導く為にその姿を現す。
遠坂が空けた席にどかりと座り、一升瓶を口にして豪快に息を吐いた。
「何だ、欲しいのか? ほら……」
一升瓶を俺達に向けて傾けた緋狭さんに、反論したのは芹霞で。
「未成年に駄目!!!」
「何を今更。では玲、飲むか?」
「玲くん、もうかなり飲んでるし、これ以上の酔っ払いにしちゃ駄目!!!」
「ほう? どれ程飲んだ?」
「ビール缶5、6本…」
玲は気まずそうに、頭をぽりぽりと掻いて答えれば、煌が大爆笑をした。
「それぐらいで玲は酔わねえよ」
「へ?」
「玲は俺より俄然強いし。緋狭姉程ではないにしても、俺は玲の潰れた姿を見たことがねえ」
すると芹霞がじっと玲を見て。
「玲くんもウワバミファミリーの一員だったのか。あのとろんとした目で拗ねる玲くんも、禁断の…過去の恋愛話まで色々お話してくれた玲くんも、あの可愛さはほろ酔いで甘えッ子モードになったせいだと思ってたけど…そうかあれ、素だったんだね」
お宝発見のように目をきらきらさせて喜ぶ芹霞とは対照的に、
「い、いや…あのね…?」
玲は珍しくうろたえて。
……俺達の、凍えた空気を感じ取って。
「ふうん、師匠って甘えッ子モードになるんだ」
「あ、あのね……僕はただ…」
玲の白い肌が、羞恥に赤く染まっている。
「皆は知らないでしょう!! 玲くんってよしよししたくなる程可愛いんだよ? いいでしょ、あたしだけが知ってるんだから!!!」
得意げに胸をそらし、にっこり無邪気に微笑む芹霞に……玲との間に生まれている"何か"を感じ取って俺の胸は苦しくなった。