あひるの仔に天使の羽根を
・宵闇
***************
緋狭姉は一体何しに此処に来たんだろう。
どうして色々知っているのだろう。
凄く疑問に思ったけれど、緋狭姉に関しては常識が通用しない。
色々考えたけど、全然答えが出ないからやめた。
頭の中が疲れるだけだ。
それがいつも通りの…緋狭姉に対するスタンス。
気づけば皆話しこんでいて。
何だか緋狭姉の言葉から思いつくことがあったらしいけれど、彼女の言葉で理解出来たことが半分にも満たないあたしは、置いてきぼり。
溜息をついていれば、同じように溜息をついている煌と目が合って。
「……何よ?」
「いや……俺はお前と同じレベルなんだなって」
どういう意味よ、と怒鳴りだす寸前、櫂の声が聞こえた。
「屍食教典儀は……」
あたしの注視はその言葉にそれた。
確かその響き、夢の中にもあった。
「夢の中で、湖に浮かんでいた本……そんな名前だったよな…」
「え?」
皆の視線があたしに向く。
「久遠所有で、旭くんがそれ奪って読んでいて湖に落っことして。セツナっていう人が優しく旭くんを許してあげてたけれどね…夢の中では」
あたしは13年前に、彼らに会っているらしい。
幾らそういわれても、全然記憶がない。
何となく会ったことがあるのかなって思うのは久遠だけで。
大体。
会っていたなら、覚えていたのなら、旭くんもそう言えばよかったのに。
――また会えて嬉しかったです。
――ずっと待ってたんです。
――ぼくも、あのヒトも。
――例えあなたが忘れていても。
緋狭姉は一体何しに此処に来たんだろう。
どうして色々知っているのだろう。
凄く疑問に思ったけれど、緋狭姉に関しては常識が通用しない。
色々考えたけど、全然答えが出ないからやめた。
頭の中が疲れるだけだ。
それがいつも通りの…緋狭姉に対するスタンス。
気づけば皆話しこんでいて。
何だか緋狭姉の言葉から思いつくことがあったらしいけれど、彼女の言葉で理解出来たことが半分にも満たないあたしは、置いてきぼり。
溜息をついていれば、同じように溜息をついている煌と目が合って。
「……何よ?」
「いや……俺はお前と同じレベルなんだなって」
どういう意味よ、と怒鳴りだす寸前、櫂の声が聞こえた。
「屍食教典儀は……」
あたしの注視はその言葉にそれた。
確かその響き、夢の中にもあった。
「夢の中で、湖に浮かんでいた本……そんな名前だったよな…」
「え?」
皆の視線があたしに向く。
「久遠所有で、旭くんがそれ奪って読んでいて湖に落っことして。セツナっていう人が優しく旭くんを許してあげてたけれどね…夢の中では」
あたしは13年前に、彼らに会っているらしい。
幾らそういわれても、全然記憶がない。
何となく会ったことがあるのかなって思うのは久遠だけで。
大体。
会っていたなら、覚えていたのなら、旭くんもそう言えばよかったのに。
――また会えて嬉しかったです。
――ずっと待ってたんです。
――ぼくも、あのヒトも。
――例えあなたが忘れていても。