ロゼッタ



勢いよく加速する車は、人も建物も存在しない道を走り抜ける。


ここへ来る途中のように、ローズの命を狙う奴らが現れるかもしれない。

けれど、戦闘経験が少なく事務職ばかりの椿が、ローズを守れるか…
いや、自分の身を守れるかも分からない。

無傷にとまでは言わないが、生きて任務完了できるのだろうか…


「じゃーんけーんぽん!あっちむいてほい!」

「あー!また負けちゃった!ミス・ローズマリーは強いね!」

「ふふん、そうだろう」

「…お前らなぁ…」


人が緊張してるのにコイツらは…
本当にのんき過ぎないか?

呆れる俺に、椿が笑う。


「でもね柊、気を張りすぎても疲れちゃうだけだよ?」


一理ある。一理あるが…
何だか悔しくて、俺は運転に意識を集中させた。





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