ロゼッタ
2 道程
「……ミス・ローズマリー」
「……」
「…ミス・ローズマリー!」
「ぅお!な、なんだ!」
「なんだじゃない!ったく…何回呼ばせるんだ…」
車の窓を開けて顔を出していた少女に声をかける。
命を狙われているというのに、なんとまぁ緊張感のない。
「お前なぁ、命狙われてるんだぞ?」
「分かっている。でもそれは車の中にいても同じことだ」
たしかに。
と十二歳の少女に二十五にもなる自分は納得させられてしまった。
ちょっとだけ悔しがっていると、今度は少女から俺に話し掛けてきた。
「なぁヒイラギ、私はお前のことが知りたい」
大きな目をキラキラと輝かせながら言い放つ少女に、思わずたじろぐ。
何だかそこら辺の強いマフィアより迫力がある。
「あー…俺のことって、例えば?」
「んーそうだな…名前、身長、年齢、趣味…それから、」
「はいはい」
指を折ながら数える少女は、年相応に見える。
やっぱり子供は何にでも興味を示さないとな。
「名前は柊・エンドウ。身長は188センチの二十五歳。趣味はタバコ。以上」
淡々と質問に答えると、少女はつまらなそうに頬を膨らませた。
何だか申し訳ない気もしてきたので「お前は?」と質問を返す。
すると少女は少し照れ臭そうに返事をした。
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