ロゼッタ
「ちっ、マフィアの野郎か」
「マフィアって…」
政府に対抗し、ミス・ローズマリーを狙うと言ったら、ロゼッタの心臓の存在を知っているマフィアくらいしかいないだろう。
「おい、ミス・ローズマリー、」
「な、なんだ」
「しっかり伏せてろ」
ミス・ローズマリーの、息をのむ音が聞こえる。
俺はハンドルをきりながら銃を構えた腕を外へ向けた。
渇いた銃声が鳴り響く。
相手の車がパンクしたらしく、車のタイヤの擦れる音が聞こえて来る。
そんなことに構わず、俺はアクセルを踏み続けた。
***
「マ、マフィアは?」
車の中で屈んでいたミス・ローズマリーが頭を上げる。
俺は車に置いていた煙草に手を伸ばしながら返事をする。
「ちゃんと撒いた、つーか片付けた。
…煙草、吸って良いか?」
ミス・ローズマリーは安心したような顔で深呼吸をし、「別に良い」とぶっきらぼうに返事をしてきた。
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