音楽のある世界へ(仮題)
それから

どれくらいの時間が過ぎただろう


ジー ガタガタガタ


という音で、瞬は目を覚ました。

備え付けの冷蔵庫が音を立てたようだ。



まどろみから、いつのまにか本格的に寝ていたようだ。

ベッドランプを探し、部屋を明るくしたが、彼女がいる気配が無い。


トイレか?


しかし、洗面所にもバスルームにも彼女の姿は見当たらない。


玄関に靴が無いので彼女が部屋を出たことは明白だろう。


そのとき改めてとんでもない喪失感を
味わった。

携帯のアドレスや連絡先……

どころか

名前すら聞いてないこと


いや
それよりも

高校生なのか
大学生なのか

年齢すら知らないのだ。


暑いシャワーを浴びながら

自分の愚かさを反芻するのだった。











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