音楽のある世界へ(仮題)
瞬がボーカルとギター
リョウがリードギター
依子がキーボード
阿部がドラムス
ベースは場合によって
依子とリョウが担当するという編成だ。
元々リョウの年季が入ったギターは
天才的で、長年ピアノを習っていた
依子のキーボードもバンドの
核を成していたが、
他の二人は高校生レベルであろう。
と、瞬は思う。
それでも同年代の音と比べて見れば
セプクラはいい線いってるようにも感じる。
それは単にリョウというスターがいるからで、
これは冗談でもなんでもなく、
あいつはおそらく将来、本当に音楽のプロを
目指しているのだろう。
と、推察された。
それは素人目に見てもギターのテクニックを
越えたグルーブを持っている。
演奏をしている者ならそれは理解できる。
リョウはおそらく本物だ。
いや本物に近いだろう。
だが、そんなことを堂々と本人に言うほど
瞬もお人よしではなかった。
心のどこがで嫉妬している
部分もあるのだろう。
高校生同士が言い合うのも照れくさい。
まぁ
そんなことは他人が敢えて言わなくても
リョウ自身が
一番解っているのかもしれないが。