音楽のある世界へ(仮題)
オリジナルにこだわっているのも
うちのバンドの特徴といえる。

もちろん
リーダーであるリョウの
「オリジナルしかやらなりたくない」
という恣意的な主張でもある。

しかし、
その選択は間違っていないような気がする。

そもそも音楽なんて
自己主張の賜物であってしかるべし。

なのだから、
既存の音を踏襲する必要などないのだ。

これは瞬もまったくの同意見であった。

そういった理由からも瞬はリョウのバンドに参加したのだ。

ハードでパンクでメロディアス。
人を食ったようなトリッキーさもあるリョウのサウンドが瞬は好きだった。

ワガママではあるが、軽音楽部においてリョウの才能は際立っており、実際に目の当たりにしたことのない世界といえる。自分のギターの腕前とはリアルに雲泥の差がある。

たぶん、他のメンバーもそう思っているのだろう。

そして、そのリョウが瞬に詞をかけと言うのだ。

言葉には出さなかったが、瞬はうれしかった。あえて理由は聞かされていないが、そんな理由あえて語らないところにリョウの奥ゆかしさを感じて、





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