音楽のある世界へ(仮題)
彼女はもう一度
その青いパッケージに目を落とし


「フランス製かな、よく知らないんだけど」

と、つぶやいた。



見たことも無い
フランス製の煙草を吸う美しい少女。

その幼さの残る横顔とスッと細く長い首。


そんな子が、いままさに自分の横にいるのだ。


季節の変わり目に
乾燥した爽やかな風に吹かれていただけで
まるで得した気分になっていた自分に



さらに幸運が舞い込んできた気分だった。



「このあと時間あるなら、遊びにいかない?」



瞬は自分に特定の彼女がいない気軽さから
軽い言葉が飛び出した。


「うん、いいよ」



だから、こんな返事が返ってきたとき、

本気で飛び上がって喜びそうになっていた。

< 3 / 28 >

この作品をシェア

pagetop