その先へ
―キーンコーンカーンコーン―


―ガラガラッ―


「席着いてるか!?」


ドアが開くと同時にわっさんの大きな声が教室中に響き渡った。


[わっさん]こと渡辺先生は去年からの担任で、最近はメタボを気にしている30歳、独身、彼女なし。先生も生徒同様持ち上がりなようだ。


「またお前たちの担任なんて嫌って言ったんだがなぁ…」


そうわっさんが口を開くとクラス中からブーイングが巻き起こった。


「実は3年の担任を受け持つのは教師になって初めてのことなんだ。俺も全力でやるからお前らも全力でな。来年の卒業式には誰一人欠けることなく俺に名前を呼ばせてくれよな!!」


そういうとブーイングが静かに収まった。わっさんは時々臭いセリフをサラッと言う。それが意外にも生徒に慕われる理由の一つであったりする。きっと僕以外は。





「わっさん!!」


わっさんが視線を向けるとそこにはユーヘイが立ち上がっていた。


「何で名簿順なんだよ!?今から席替えしようぜ」


するとカンちゃんもその話に乗っかった。まだ諦めていなかったようだ。


わっさんはため息混じりに、


「お前らなぁ…」


と呆れ口調で返事をした。
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