その先へ
「そうそう!!ナナちゃん分かるでしょ?あの子有名な雑誌の読者モデルやってるらしいわよ!!」

「あとね、ヒカリちゃんはね…」


母は僕が高校に入ってから小、中学校時代の友達と関わりがないのに気付いていた。

驚きの話からどうでもいいような話まで近所から得た情報をペラペラと話し出した。


まるで沈黙が怖いかのように……。





しばらくの間母の話に耳を傾けていた僕。
だが、だんだんと母の話に違和感を覚え始めた。

「ミユちゃん、彼氏出来たんだって!!」

「チサトちゃん2年生の時に通ってる高校のミスコンでグランプリだって!!」

「ルリカちゃん、もう成人式の振り袖買ったんだって!!」


母が言わんとすることが嫌でも伝わってきてさっきまでの違和感が次第に嫌悪感に変わっていく。


「大人しかったカホちゃんっていたでしょ?最近化粧しちゃってすっかり女の子…」



―バンッ―



耐えきれずに両手でテーブルを激しく叩き、母をキッと睨みつけた。
< 52 / 86 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop