その先へ
「え!?」

「俺がクッキーもらってどう思う?」


しばらく考え込んでも何て答えたらいいか分からない。僕がどう思うかなんて関係あるのだろうか。


「んー…羨ましいとか?」


外を見ていたタキが思わず笑ってこっちを向いた。


「羨ましいって…」

「モテるってことだから羨ましいんじゃないかなって…思いました」


突然彼が呆れたように笑い出した。


「ジュンって変わってるよな、降参。頂いときます」


渋々だが受け取ってくれた彼に一安心する僕。
そんな僕を見ていた彼がふいに口を開いた。


「お前…何かあった?」

「え?何で?」

「いつもと違う…感じ」


タキもカノンも何故だか僕の変化に敏感らしい。そんな雰囲気は少しも出していないつもりだし、他の人は全く気付かないのに…。


「そうかな。別に何もないけど…」

「ウソだろ?何かあったなら言ってみろよ」


昨日のことを話すつもりはない。しかし、今日のタキはなかなか食い下がろうとしない。

彼の鋭い眼差しにまるでヘビに睨まれたカエルのように追いつめられていく。
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