その先へ
「トイレじゃない?」

「トイレに何でチケット持って行くんだよ!!」


何も考えていないカンちゃんにタキの容赦ないツッコミが飛ぶ。


「俺…やっぱり探しに行ってくる!!」


そう言って列から離れようとするユーヘイに対し、


「ここにいなさい!!カノンだってここにいてって言ってたでしょ?ユーヘイが迷子になる可能性の方が心配だわ!!」


フミナの一喝に不服そうな顔をしながらも何も返せないユーヘイ。待つことにしたはいいがソワソワしていて落ち着きがない。その様子を見ていたカンちゃんが、


「何か今日のユーヘイいつもと違うよね~」


と一言。本人は何気なく言ったようだがユーヘイは明らかに動揺していた。


「どこがだよ~…いつもと一緒じゃん?なぁ、タキ!?」

「おっ…おぅ!!」


慌ててフォローに入るタキも何故だか不自然だ。


「だって張り切ってクジ作って来るし、バスも超テンション高かったじゃん!?」

「そんなことないでしょ~…あ!!前進んだぜ!!詰めて詰めて」


さらに突っ込んで聞いてくるカンちゃんに、話をすり替えようとするユーヘイ。そんなユーヘイをタキではなく幼なじみのフミナがフォローする。


「ユーヘイって昔からこうなのよ。遠足だの遊園地だの誰よりも張り切らなきゃ気が済まないんだから」


さすがのフミナだけあって説得力がある。ユーヘイもいつものお調子者に戻ったのか面白い話をしてカンちゃんを笑わせていた。ただ、僕には裏がある気がしてならなかった。
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