その先へ
いよいよジェットコースターに乗れる順番が回って来た。再びユーヘイ持参のクジを引くことに。さっきと同じ順番でクジを引くと、またカンちゃんとフミナが触れることなくさっきと同じペアに決まった。

タキと僕はジェットコースターの一番後ろへ、その前にカノンとユーヘイ、その前にカンちゃんとフミナが座った。


「やっぱり怖い!!降りる~!!」

「大丈夫だって!!」


パニック状態のカノンを優しく諭すユーヘイ。そんな2人を見ながらふと隣に目を向けると、少し青ざめたタキが下を向いていた。
乗り込む前までは平気な顔をしていた分そのギャップがあまりにも可笑しくてつい笑ってしまった。


「何だよ!?」

「怖いなら手を繋いであげようか?」


普段とは立場が逆転したからなのかタキは顔を真っ赤にしていた。



―ガタガタガタガタ…ガタッ…ガタッ…―



いつの間にか頂上へ。その時…。
左手に感触があった。タキが本当に手を繋いで来たのだ。冗談で言ったつもりだったが、その言葉を信じたタキに、また新しい一面をみれた気がして思わずニコッと笑った。


頂上から一気に落下する瞬間、僕はあるものを目にする。


ユーヘイの手をギュッと握っているカノンの手を。
ニコッとした顔が変わって行くのが自分でも分かる。


全てが分かった気がした。
なぜユーヘイがテンション高かったのか。
なぜクジ引きで同じペアばかりになるのか。
そして…カノンが誰を好きなのかも。

僕の想いが急降下していくのも…。
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