その先へ
タキがいなくなり、無論シーンとした空気が漂う待合室。

カノンと一緒にいてこんなにも15分が長いと思ったことはなかった。

いてもたってもいられない気持ちを誤魔化すかのように携帯とただただにらめっこしていた。


「ねぇ?ジュン?」


カノンの呼びかけに対し鼓動が速くなっているのが分かる。そんな様子を悟られないように携帯を見たままの体勢で何?と返した。


「私、ジュンに何かした?」

「別に、何も」

「じゃあ何で怒ってたの?」

「怒ってないよ」

「ウソ!!」


突然のカノンの大声に、僕は思わず彼女の方を見た。
怒りや悲しみが入り混じったような、何とも言葉にし難い表情をしたカノンが僕の顔をジッと見ている。


「なっ…何でそう思うんだよ…」


僕は彼女から視線を逸らし、再び携帯をいじり始める。
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