その先へ
彼女も負けじと僕の目を真っ直ぐ見ていた。


「どういう意味ですか?」

「どういうって…そのままよ。あなたが一番分かってるでしょ?人と違うってね」

「………」


心当たりがあるせいか、すぐに言い返すことが出来ず俯く僕。それが悔しくてしばらくすると口を開いた。


「初めて会ったあなたに何が分かるって言うんですか!?」


僕の言葉にフッと鼻で笑う彼女に苛立ち、さらに大きな声を張った。


「見える見えるって言うけど。実際は誰にでも当てはまるようなこと言ってるだけだろ!?」


しばらくすると彼女はフーッと息を吐き、突然マシンガンのように僕の生い立ちから今まで起こった出来事を話し始めた。

それは僕自身も曖昧になっていた記憶で、親ですら知り得ないことまで正確に当てていった。もちろん僕の秘密まで。彼女はずっと僕の隣にいたかの如くピタリと一致していった。

彼女の能力の前にただただ呆然と立ち尽くしていた。


「どう?私のこと信じてくれる気になったかしら?」

「どっ…どうして…?」

「言ったでしょ?見えるって。でもあなたぐらい見える人は珍しいのよ」


彼女なら僕の悩みを分かってくれるかもしれない。いや、きっともう分かっているのだろう。

頼りたい気持ちと不安でいっぱいになった僕を見て、彼女は切り出した。
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